俳句と短歌 わたしたちの世界の要素
2021/02/13
『エレメンツ』(素粒社)『広い世界と2や8や7』(左右社)刊行記念
俳句と短歌 わたしたちの世界の要素
2020年、日本語定型詩の未来を切り拓く句集と歌集が刊行されました。
鴇田智哉『エレメンツ』は、田中裕明賞受賞作『凧と円柱』より6年ぶりの第3句集。自動記述的な実験作や、出身地である上総の方言による連作などを含む”大規模”といえる一冊です。わたしたち読者は、鴇田智哉という作家の組成を理解しながら、日本語表現の可能性に出会うことができます。
永井祐『広い世界と2や8や7』は、口語短歌の文体を更新した『日本の中でたのしく暮らす』より9年ぶりの第2歌集です。現在を軸として内容と形式がグルーヴを成す永井の作品は、わたしたちの暮らしに別の光を当て、平熱の切なさとユーモアをもたらします。
この2冊に収録された個々の作品と、句集/歌集を編むうえでお二人が試みたことをもとに、日本語定型詩のこれからの話をしましょう。視野の定め方や時制の表現、数詞の扱いなども手がかりとなりそうです。俳句実作者・短歌読者の佐藤文香が聞き手をつとめます。俳句・短歌の実作者・読者の方はもちろん、日本語や表現にご興味のある方はどなたでもご視聴ください。
いうれいは給水塔をみて育つ
草の穂ははるかな舟を患へり
たくたくと鳴るのも檸檬きみどりの
tttふいにさざめく子らや秋
海苔あぶる額に海苔の風が来る
星が流れると誰かの目にかはる
あらすぢが見ゆ河骨のあかるみに
(鴇田智哉『エレメンツ』より)
よれよれにジャケットがなるジャケットでジャケットでしないことをするから
寝てしまうならすぐに帰ればよかったな 飛行機と公園の一日
メールしてメールしている君のこと夕方のなかに置きたいと思う
セロテープカッター付きのやつを買う 生きてることで盛り上がりたい
遠くにあるたのしいことの気配だけ押し寄せてきてねむれない夜
(永井祐『広い世界と2や8や7』より)
[文と選] 佐藤文香
会場 | 本屋B&B |
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開場/開演 | 開演 19:00 |
料金 | ■配信チケット:1500円(税別) ■書籍つき配信参加:1500円+『エレメンツ』1700円(上記いずれも税別) ■書籍つき配信参加:1500円+『広い世界と2と8や7』1600円(上記いずれも税別) ■書籍つき配信参加:1500円+『エレメンツ』1700円+『広い世界と2と8や7』1600円(上記いずれも税別) |
出演者 | 鴇田智哉(ときた・ともや) 1969年千葉県木更津市生まれ。1996年俳句結社「魚座」にて俳句を始める。「魚座」終刊にともない、2007年「雲」入会、編集長。「雲」退会後、2015年に俳句同人誌「オルガン」創刊参加。俳句研究賞、俳人協会新人賞、田中裕明賞受賞。句集に『こゑふたつ』(2005年、木の山文庫)、『凧と円柱』(2014年、ふらんす堂)。 永井祐(ながい・ゆう) 1981年生まれ。2000年ごろに短歌を始める。学生のときは早稲田短歌会に所属。2001年、北溟短歌賞次席。2004年、歌葉新人賞最終候補。2019年より笹井宏之賞選考委員。歌集に『日本の中でたのしく暮らす』(2012年、BookPark・2020年に短歌研究社より再刊)。ガルマン歌会などで活動。 佐藤文香(さとう・あやか) 1985年兵庫県生まれ。1998年に俳句を始める。句集に『海藻標本』、『君に目があり見開かれ』。編著に『俳句を遊べ!』、『天の川銀河発電所 Born after 1968 現代俳句ガイドブック』など。ほかに、詩集『新しい音楽をおしえて』、掌編小説集『そんなことよりキスだった』。「翻車魚」「鏡」にて俳句活動。 |
お問い合わせ | 本屋B&B http://bookandbeer.com/ http://bookandbeer.com/event/haikutotanka/ |
その他情報 | 鴇田智哉『エレメンツ』(素粒社) ISBN978-4-910413-01-3 http://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784910413013 永井祐『広い世界と2や8や7』(左右社) ISBN978-4-86528-005-0 http://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784865280050 |