育休明けに得た発見
はじめまして。キーステージ21の丸山と申します。弊社は、創業から今日までの11年の歴史のなかで、絵本や自伝、教育書まで多岐にわたる本を出版してきているため、どんな出版社なのかわかりづらいかもしれません。
ですが、Make a Difference「社会を少しずつでもよりよくする」の理念のもと、社会的な課題解決や社会貢献など、「ソーシャルな」テーマの本を出版することを心がけています。
出版のペースは決して早いわけではありませんが、いつだって社内の人間たちが膝を突き合わせ、うんうんうなりながら、ときに外に取材に飛び出し毎回なんとか本を生み出しています。
そのようななか私は、一昨年の12月から今年の4月に至るまで産休・育休をいただいておりました。私がお休みの間、弊社は2冊の本を出版してました。それが『環境学習のラーニング・デザイン-アクティブ・ラーニングで学ぶ持続可能な社会づくり-』
と『学校3.0×SDGs -時代を生き抜く教育への挑戦-』
という本です。どちらの本も「SDGs(持続可能な開発目標)」の学びと関わっています。
『環境学習のラーニング・デザイン-アクティブ・ラーニングで学ぶ持続可能な社会づくり-』は、さまざまな環境教育の現場で使用できるテキストをコンセプトに、アクティブ・ラーニングの視点からひも解かれた実践例とともに多種多様な学習スタイルを掲載。持続可能な社会の実現に向けた環境学習の実践事例をまとめた1冊です。
『学校3.0×SDGs -時代を生き抜く教育への挑戦-』は、2つの小学校で取り組まれてきた「SDGsの学び」への事例を取り上げながら、それによって起きた変化などをまとめ、「SDGsの学び」の可能性について論じた1冊です。杉並区立西田小学校は、2019年度ESD大賞を受賞、ESDやSDGsの学びを実践してきました。
残念ながらこれらの書籍の作成にはお休み期間中だったためかかわることができなかったのですが、復帰後にようやくきちんと実物を見ることができました。お恥ずかしい話、私はこの本で知るまで「SDGs」という国際目標をきちんと理解していたとは言えませんでした(今も正直自信はないですが)。ですが、この本を手に取ることでその概念を新たに獲得したわけです。そうなると面白いもので、「今ニュースでSDGsって言ってるな」「このお店看板にSDGsを掲げてる。ちょっと覗いてみるか」という意識が新たに芽生えるのです。産休中にも同じニュースを見ていたり、同じお店の前を通ったりしていたはずなのにです。
新しい本に触れる喜びとはまさにこのことだと思いました。好きなことだけに無我夢中でのめりこむ楽しさもさることながら、新しい概念に触れること、そしてそれが自分の身近に存在していることを自覚すること。そして自分の中に新たな引出しが生まれること。それらを体験する機会をくれる本という存在は私の人生に欠かせない。そう考えると、そんな本を生み出すチャレンジが出版と考えると、本づくりには無限の可能性があるように思えます。
もちろん本を作った後は多くの人の手に届くように売らなければならないわけですから、無制限に何でも本にしてしまうということはできません。だからこそ毎回社内で膝を突き合わせ、どんな本を作るのか、作りたいのかを話し合っているのです。
弊社がこれまで出版してきた本はそうやってこの本を作りたい、読んでほしい、これについて知って!という思いのもと作られてきました。これからも社員がそれぞれの趣味と好奇心とちょっとの計算をもって本を作り出していくのでしょう。
これからも末永くよろしくお願いします。