動物のことを考える出版活動
版元日誌、いつも読者として眺めていたこの場に出させていただけること、本当に光栄です。それなのに、〆切延長を願出てしまい申し訳ありませんでした。
弊社・白蝶社は社員はわたし一人の、いわゆるひとり出版社です。会社員も兼業しているので、年に2〜3冊を出版するペースでノロノロと出版事業を行っています。早く、会社員を辞めて出版社1本にしたいのですが、なかなかそうもいきません。
白蝶社という名称。よく、鳥の白鳥と間違えられますが、昆虫の蝶をコンセプトに命名しました。なぜ、蝶なのか。Butterfly Effect(バタフライエフェクト)という単語を耳にされたたことがあると思います。NHKにも同名の番組があります。エドワード・ローレンツという気象学者が提唱した「ブラジルの蝶の羽ばたきが、テキサスでハリケーンを起こすかもしれない」という有名なカオス理論のやつです。この考え方は、出版事業、特にひとり出版社のやっていることにピッタリなのではないかと思いました。
ひとりひとりの小さな営みが連鎖して、社会を動かす大きなうねりを生み出す。なんだか、社会を動かすなんていうと、烏滸がましい気もしますが、自分で会社を興し、社会に対する働きかけをしていく以上、それくらいの気概を持って臨みたいと気張ってつけました。
弊社が力を入れて取り組むのは、動物や生物(植物も含む)に関することです。直近では動物倫理であったり、動物福祉といった領域に力を入れたいと思っています。目標というか、出版ラインナップとして参考にしたいのが築地書館さんだったりします。
話は変わりますが、この間人生で初めて鶏を屠畜しました。
羽をバタつかせる鶏の羽を片手で握り、もう片方の手で鶏の目を覆い(暗くして)鶏の気を落ち着かせます。その後、右手にナイフを持ち、鶏の喉元に当てて、一気に突き刺し、そして引いて戻す。ゴムのように伸びる鶏の皮膚になかなか刃は通らず、苦しそうにバタつく鶏に「まじゴメン、ほんとゴメン」と何度も心の中で唱えながら、やっと頸動脈を切る。滴る真っ赤な血とともに、鶏が絶命していく様を呆然として眺めていました。その後は、お湯で羽を抜きやすくして、羽を毟り、首を落として内臓を取り出し、肉として加工しました。鶏の身体から、よく目にする卵が出て来たとき、なんとも言えない気持ちになりました。
こうして文字にすると、なんとも悍ましい感じがします。
しかし、こうして屠畜された鶏(あるいは、豚や牛)の肉を我々は食べています。自分で捌いた肉を持ち帰ったのですが、なかなか食べる気にならず、未だ自宅の冷凍庫で眠っています。食べられる日は来るのでしょうか。
今年2月に『新版アニマル・マシーン』(ルース・ハリソン著)

という1960年代に日本で翻訳出版された書籍を復刊いたしました。編集作業の過程で、なんだか牛乳が飲みたくなくなり、今では豆乳やアーモンドミルクを飲んでいます。鶏の屠畜も体験しました。不思議と、肉の消費も減った気がします。
出版活動をする中で私自身の生活が変質していきました。まさに、出版活動とは人生そのもの。
昨今、全国各地に熊が出没し日本中を騒がせています。私たちの直ぐ側に暮らしていた訳ですからある意味当然と言えば当然です。豚の臓器を人間に移植するという話も出てきました。人間に危害を加えると思えば駆除し、移植に使用できると思えば臓器をもらいます。何より、食べるために生かされる産業動物とはなんなのでしょうか?
動物について考えなければならないことが、山ほどあります。わたしが生きているうちにどこまで社会は行くのでしょうか。出版界隈から、眺めつつ、関わっていきたいと思っています。