書評を見直そう
2025年10月1日、「図書新聞」が2026年3月で終刊になるという大きなニュースがありました。創刊が1949年だからといって、何も(中国の)国慶節に発表しなくてもと思いましたが、4月には「苦境が続いており、1年間での定期購読受付を中止」の連絡があったそうなので、半年前には決まっていたようですね。
「図書新聞」は「週刊読書人」と並ぶ二大書評紙です。「読書メーター」は盛況のようだし、ビブリオバトルも各地で行われていますので、読書家自体が減っているとは思われないのですが、学術書に対する重厚な書評というのは読み手も書き手も減っているのでしょう。寂しいことです。
書評が読書感想文とは一線を画すのは言うまでもないことですが、単なるブックガイドとも違い、評者の批評が加わったものなのですね。論文と同等に評価してよいものではないでしょうか。評者の見識が問われる舞台です。
さて、このほど集広舎から『文明と戦争の誕生―国家、この栄光と残酷を生み出すもの』(小林一美著)

が刊行されました。書評集という形を取りながら、著者の歴史観を披露し、優れた文明批評になっています。
全6部の構成は、第Ⅰ部の「中華世界における文明と戦争の誕生とその構造」こそ特定の書物を対象としていないものの、第Ⅱ部はヘロドトスの『歴史』を、第Ⅲ部はイブン=ハルドゥーンの『歴史序説』を、第Ⅳ部はバーブルの『バーブル・ナーマ』を、第Ⅴ部は中澤孝之の『ロシア革命で活躍したユダヤ人たち』を、第Ⅵ部はナクツァン・ヌロの自伝『ナクツァン』をそれぞれ読み解き、中華古代帝国・ギリシア世界・イスラーム世界・ユーラシア大陸中央部の遊牧世界・ロシア革命・チベットを縦横に論じ、これらを貫く歴史原理を探ろうとするものです。そして、「人間とは、いったい何ものなのか」を世に問うています。
列記したタイトルだけ見てもかなり手強そうです。読み通す気概のある人はいませんか?