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未来の人材は「音楽」で育てる 菅野 恵理子(著) - アルテスパブリッシング
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未来の人材は「音楽」で育てる 世界をひらく5つのリベラルアーツ・マインド

B6変型判
272ページ
並製
価格 1,800円+税
ISBN
978-4-86559-184-2
Cコード
C1073
教養 単行本 音楽・舞踊
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2018年6月
書店発売日
登録日
2018年5月31日
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紹介

バッハ、モーツァルト、ショパン、ドビュッシー、バルトーク、ストラヴィンスキーなど大作曲家の生涯から、未来の人材に必要な5つの精神を学ぶ。

1)多様性から新しいヴィジョンを生み出す人──身近な多様性に気づき、グローバルに活かす
 【バルトーク、ストラヴィンスキー】
2)ソーシャルなマインドをもつ人──互恵社会のなかで、ともに創造する
 【リスト、メンデルスゾーン】
3)レジリエンスの精神をもつ人──複数の視点で物事を柔軟にとらえる
 【プーランク、ラヴェル、ショスタコーヴィチ】
4)フロンティアとして道を創る人──普遍的な原理を新しい時代に活かす
 【J.S.バッハ、ドビュッシー】
5)生命・宇宙のサイクルを感じとる人──見えない気や感情を察知する
 【ショパン、モーツァルト、ヒルデガルト・フォン・ビンゲン】

各国の先進的な教育の事例も多数紹介!
・フォルマシオン・ミュジカル(フランス)
・創造力ワークショップ(イギリス)
・PISA新指標(OECD=経済協力開発機構)
・次世代グローバル・リーダー教育(オーストリア)
・2020年度大学入試改革(日本) ほか

ベストセラー『ハーバード大学は「音楽」で人を育てる』の著者による待望の第2弾!

目次

はじめに──未来世代に求められる五つのマインド

第1章 多様性から新しいビジョンを生み出す人

世界は多様性に満ちている

【創造者に学ぶ】
 ●身近な多様性に気づく──バルトーク
 ・身近にある多様性を発見する
 ・人間の営みを一つ一つ再現するように
 ・自分の周囲にも積極的に目を向ける
 ・わずかな違いに目を向けて
 ・起源を掘り起こし、見えてくる時代の流れ
 ・自然と人間を愛した人だからこそ
 ●多様性を組み合わせる──ストラヴィンスキー
 ・膨大なインプットから、ある日ふと着想
 ・多様な素材を組み合わせて、新しい世界観
 ・すべての動機は愛

まとめ──多様性を活かす大きなビジョン

【現代の教育にどう活かす?】
 ●子供のころから音楽で学ぶ多様性──フランスの聴音教材
 ●音楽の解釈にも多様性がある──エリザベート王妃国際コンクール
 ●自分×他者の創造力をかけ合わせる──英国の創造力ワークショップ
 ●多分野を組み合わせた学際的研究──フランスの研究大学

第2章 ソーシャルなマインドをもつ人

互恵社会の中で繋がり、共に創っていく

【創造者に学ぶ】
 ●自分・相手・社会をつなぐ──リスト
 ・早熟の天才が気づいた社会的使命は
 ・後進の育成、その影響はロシアやフランスまで
 ・近代への足掛かりを作った先駆者として
 ●過去・現在・未来をつなぐ──メンデルスゾーン
 ・リベラルアーツ教育の体現者が、バッハを復興
 ・公正な眼で、眠れる資源を発見

まとめ──自分というミクロの存在を、マクロの世界に見出す

【現代の教育にどう活かす?】
 ●未来を共に創るグループワーク──アンサンブル教育
 ●人々の心をつなげる欧州の音楽祭──ザルツブルグ、ルツェルン、ドレスデン
 ●音楽で国境を越える──イスラエルとパレスチナ、韓国と北朝鮮

第3章 レジリエンスの精神をもつ人

物の見方を柔軟にする

【創造者に学ぶ】
 ●二つの視点から物事を見る──プーランク
 ・ブルジョワと庶民、聖と俗の間で
 ・二つの視点から見た世界観
 ●想像を自由にめぐらせる──ラヴェル
 ・鏡に映る「もう一人の自分」に問いかけるように
 ・現実と幻影の間で、自我と超自我の間で
 ・超現実の世界を探求して
 ・覚醒した眼で、もう一人の自己と戯れる
 ・芸術行為としての遊び
 ●冷静に観察し、しなやかにはねのける──ショスタコーヴィチ

まとめ──柔軟かつ冷静に受けとめる力

【現代の教育にどう活かす?】
 ●一つのテーマから、想像を広げる──ルーブル美術館鑑賞コース
 ●複数の問いから、一つの文脈を読み解く
  ──二〇二〇年度大学入試改革、フランスの教科書
 ●より広い土壌で音楽を学ぶ──青山学院大学比較芸術学科

第4章 フロンティアとして道を創る人

普遍的な原理を知り、新しい時代に活かす

【創造者に学ぶ】
 ●技法を汎用化し、精神を普遍化する──J・S・バッハ
 ・研究と実践を繰り返して創造へ
 ・全ての調性をコンプリート
 ・技法の汎用性、精神の普遍性を求めて
 ・時を超えるバッハの自由精神
 ●身体感覚で未知の世界を開拓する──ドビュッシー
 ・型破りか、独創的か
 ・対象の深層に入り込むと、境界線が消える
 ・内なる衝動、生命の律動に共鳴して

まとめ──限定的なルールより、普遍的な原理を

【現代の教育にどう活かす?】
 ●既存の技法をもって新しい表現を──パリ国立高等音楽院
 ●音楽で次世代リーダーを育てる──ザルツブルグ・グローバルセミナー

第5章 生命・宇宙のサイクルを感じ取る人

見えない気や感情を察知する

【創造者に学ぶ】
 ●感情を深く受けとめて表現する──ショパン
 ・心の声を聞く、見えない思いを表現する
 ・音楽が伝える、心の奥にある想い
 ・絶え間なく湧き出る楽想は、心のゆらぎか
 ●あらゆる人間や自然に目を向ける──モーツァルト
 ・何気ない日常から、世界の真理を見通す
 ・本当の財産は頭の中に
 ・愛し、愛され、愛され続けて
 ●天・地・人を調和させる──フォン・ビンゲン
 ・人類の枠組みを超えて
 ・天界・自然・人間を調和させるために
 ・天球に音を感じる
 ・音楽が宇宙とつながるという神秘

まとめ──すべては感じる&観じる力から

【現代の教育にどう活かす?】
 ●子どもに伝えたい様々な感情表現──フランスの音楽絵本
 ●身体を動かして世界の音を感じ取る──リトミック教育
コラム
 ●音楽も学ぶ? 音楽で学ぶ?──今アメリカの大学では
  アメリカの総合大学で学ばれている音楽科目例

おわりに

前書きなど

はじめに──未来世代に求められる五つのマインド

●音楽で伸ばせるマインドや能力とは?──社会から音楽に問いかける

 日々変化し続ける世界。グローバル社会はこれからどのように変容していくのだろうか? たしかに、時代によって人間の価値観や生活習慣などは大きく変わる。しかし人間の本質や本能はさほど変わらないのではないか。古代や中世であろうが、はたまた現代であろうが、人間は、あいかわらず笑ったり泣いたり、悩んだり楽しんだりしながら、日々を生きている。少しでも幸せになりたいと願いながら。
 しかし二一世紀は、これまでの世紀と大きく異なる点もある。人間そのものの研究が進み、人間とほぼ同等かそれ以上の能力を獲得していくといわれる、人工知能(AI)が出現したことだ。いずれ既存の職業の何割かは、人工知能に取って代わると予測されている。しかしながら人間は神秘な存在で、まだ開花していない潜在能力もあるかもしれない。未来社会においては、機械にまかせられる部分はまかせるとして、人間にできることは何かがさらに追究されていくだろう。それは、人間ほんらいの力を再発見することにつながる。
 ではどのようにすれば、その力に気づくことができるだろうか? たとえば古今東西の芸術作品には、過去の音楽家や芸術家が発揮してきた才能や感性の断片が刻まれている。彼らは鋭い感性をもって、多くの人が気づかない音色や色彩を発見し、自己や他者の心象風景を読み解き、世の中の動きを察知し、物事の本質や自然の摂理を見抜き、作品をとおして人々に伝えた。つまり、人間の感性を極限まで活かした人々である。そして音楽や芸術の歴史とは、それらが積み重なってできた人類の記憶の宝庫なのだ。たんなる記憶だけでなく、「新しい未来を創造したい」という想念も刻まれている。そこに、これからの時代を生き抜くヒントがあるのではないだろうか?
 本書では、「未来世代は教養として、どんなマインドや思考を身につければよいか」を五つ挙げた。過去の音楽家の作品や生きざまからヒントを得ながら、読者のみなさんの未来社会を考えるきっかけになればさいわいである。また筆者がこれまでに執筆した国内外での取材記事から、各マインドを活かした教育事例をいくつかご紹介している。なお、本書のテーマおよび取り上げた作曲家や作品は、ひとつの提案である。今回はこのようなテーマに沿って選んだもので、名曲選集の類ではない。ぜひ膨大な音楽資源を活かして、みなさんひとりひとりの切り口を考えていただければさいわいである。また、はじめてその作曲家の音楽を聴く方に向けて、「この曲を聴いてみよう!」というコーナーで二~三曲ずつ紹介している。それぞれのライフストーリーを読みながら聴いていただくと、彼らの創造力が垣間見えるだろう。

著者プロフィール

菅野 恵理子  (スガノ エリコ)  (

音楽ジャーナリストとして国際コンクールや海外音楽教育の取材・調査研究を手がけ、『海外の音楽教育ライブリポート』を長期連載中(ピティナHP)。また音楽で人の可能性を広げ、音楽と社会をつなげることをテーマに、調査研究、講演、メディア出演、雑誌寄稿などを行っている。著書に『ハーバードは「音楽」で人を育てる──21世紀の教養を創るアメリカのリベラル・アーツ教育』(アルテスパブリッシング、2015)、インタビュー集『生徒を伸ばす! ピアノ教材大研究』(ヤマハミュージックメディア、2013)がある。上智大学外国語学部卒業。在学中に英ランカスター大学へ交換留学し、社会学を学ぶ。全日本ピアノ指導者協会勤務を経て現職。同研究会員、マレーシア・ショパン協会アソシエイトメンバー。

上記内容は本書刊行時のものです。