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秘めてこそ力 鈴木邦男(著/文) - 柏艪舎
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秘めてこそ力

発行:柏艪舎
四六変型判
縦180mm 横120mm
196ページ
並製
定価 1,400円+税
ISBN
978-4-434-17537-4
Cコード
C0095
一般 単行本 日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2013年1月
書店発売日
登録日
2012年12月14日
最終更新日
2013年1月30日
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紹介

君の意見には反対だが、それを言う権利は命にかえても守る(ヴォルテール)
鈴木邦男はまさにこの言葉に命をかけているのだ。

右傾化した日本に警鐘を鳴らし続ける
いま注目の鈴木邦男さんの新刊!
四十年間、新右翼活動をしてきた鈴木邦男が一番伝えたいこととは?

目次

もくじ
第1章 みやま荘から
     みやま荘の春秋
     それって病気?
     高みの見物
     リスクは回避できるのか

第2章 秘めてこそ力
     似て非なる右翼とネットウヨク
     〈表現〉と〈表出〉
     秘めてこそ愛
     小さな正義と大きな正義
     討論の仕方
     歴史に学べ?

第3章 領土・外交・愛国
     領土問題を考える
     外交を考える
     世界の〈愛国者〉たち

第4章 僕が一番伝えたいこと
     覚悟と痛み
     運命のわかれ道
     「君の意見には反対だが、
     それを言う権利は命にかえても守る」
     四十年間活動をしてきて、
     僕が一番伝えたいこと

あとがき
鈴木邦男 著作リスト

前書きなど

あとがき

ちょっと恥ずかしいな、と思った。この本のタイトルだ。『秘めてこそ力』だ。でも、「この本の内容にピッタリですよ」と柏艪舎の山本光伸代表は言う。「それに、鈴木さんの生き方を表わしてますよ」何度も言われるうちに、「ウーン、そうかな」と思ってきた。
自分の人生は、「秘めてこそ力」と言えるほどの綺麗で、力強いものではない。だが、どこかで、それを目指してきたのかもしれない。自分のことは案外、自分ではわからない。山本代表に指摘されて、「あっ、そういう面もあったのか」と思った。「そういう面」ではなく、それが〈全て〉なのかもしれない。「右翼」と言われる運動を四十年間やってきた。ガムシャラに前に進もうとあがき、闘い、壁にぶつかり、撥ね返され、地面に叩きつけられてきた。失敗し、途方に暮れ、絶望し、そんな中で、やっと見つけ出し、探し当てたのが、この〈真理〉かもしれない。
「秘めてこそ力」。これは、いろんなことを教えてくれる言葉だ。この騒々しい日本において、もっと謙虚になろうよ、ということかもしれない。うっかり失言し、大臣を辞めさせられた政治家にも言える。口に出す前に、ちょっと頭の中で考え、それから言うべきだ。メールやツイッターで、瞬間的に反応し、瞬間的に発言してしまう。あとで、「しまった!」と思うことも多い。
これは僕だけの問題ではない。これを読んでいる皆の問題だ。いや、日本人全体の問題だろう。日本人に限らないか。人間全てに言える。発言する方法、話し合い、討論する方法、喧嘩する方法、仲直りする方法……。あらゆる場合でも言えることだろう。学生時代のことを思い出した。僕ら右翼学生は、仲間の下宿に集まっては、よく議論していた。いや、その前に、「俺達はこの国を守るんだ」と確認しあう。そして、「自分こそが最もその気持ちが強い」と言い合い、その競争になる。いまから考えると懐かしいし、微笑ましい。「俺こそがこの国を一番愛している」、「いや、俺だ。国の為なら明日にだって死ぬ覚悟がある」と騒々しい。「おい鈴木。お前にはそんな覚悟はないだろう!」と、よく怒鳴られていた。口下手だったから、僕は自分の覚悟をよく表現できない。それで、いつも論破されていた。「死ぬ覚悟もない奴だ!」、「根性もない!」と馬鹿にされていた。「愛国心論争」では、いつも負けていた。
でも、その時「勝った」人たちは、本当に勝ったのだろうか。違うだろう。その証拠に、「勝った」人たちで、(どんな形でもいいが)志を持ち、運動を続けている人は一人もいない。四十年以上前、僕のような口下手で、やる気のない人間を論破し、勝った人間は、それで満足し、それで終わったのかもしれない。秘めるものがない。全てを吐き出し、「ああ、すっきりした」とばかりに満足し、自己完結したのかもしれない。
いまの日本も同じだ。「俺こそがこの国を一番愛している」、「改憲して強力な国防軍をつくれ!」、「戦争も辞さずの覚悟でやれ!」、「中国、韓国、北朝鮮になめられるな!」と勇ましい事を言っている人が多い。テレビでも新聞、週刊誌でも、ネットでも。愛国心の大声コンテストだ。四十年以上前の学生右翼の不毛な議論を思い出した。その繰り返しじゃないか。
そうだ、森田必勝氏は、そんな「愛国心論争」には加わらなかった。一九七〇年、三島由紀夫と共に自決した青年だ。「俺こそが第一の愛国者だ」、「俺は国の為なら、いつでも死ねる!」と大言壮語する人間が多い中で、そんな論争の外にいた。運動に熱心なあまり、激論し、時には乱闘になることもある。右翼学生団体の中でも内ゲバもあった。僕もやった。殴り合いもした。自分たちは真剣だから、純粋だから、そこまでやるのだと思っていた。たとえ仲間でも、小さな悪でも許せない。それを指摘する自分はなんて純粋で、きれいなんだろう。そう思い、自己陶酔していたのだ。誰も褒めてくれないから、自分で褒めていたのだろう。
「愛国心論争」では、いつも負けていた僕だが、実力行使では負けなかった。「鈴木さんは口下手だから、論争に負けるとすぐに手が出る」と友達に言われた。左翼と論争していても、右翼学生同士でも。右翼学生同士の内ゲバで勝利し、意気軒昂として引き上げる時、ばったり、森田必勝氏に会った。「頑張ってますね」と言ってくれると思ったら、窘められた。「少ない仲間同士で、喧嘩しても仕方ないでしょう」と言う。「なんだ、こいつは!」とカーッとなった。でもいまとなっては、森田氏の言葉のほうが正しい。七〇年の決起に向けて、もう具体的な計画も立てていたのだろう。秘めたものがあったのだ。それがわからなくて、「なんだ、こいつは!」と思った。僕らのほうが愚かだった。森田氏の秘めた覚悟、秘めた強さを教えられた。
運動をやる中で、多くの人々に会ってきた。多くの生き方を見てきた。凄い、とてもかなわないと思った人々もいた。その人達の喋った言葉よりも、秘めた言葉、秘めた覚悟、秘めた力に感動したのだと思う。そうしたことをこの本では伝えたいと思った。書き出しは、「みやま荘の春秋」だ。やけに小さな、個人的なところから話は始まっている。でも、そうした小さなところが大事なのだ。「神は細部に宿る」という言葉がある。大言壮語や声高に叫ばれる大きな正義ではなく、日常の小さなことに人々は励まされ、勇気づけられる。何気ない優しい言葉や、思いやり。それによって僕らは生きている。大事な生命の水だ。でも、それをする人達は、「自分は何かあったら優しい言葉をかけようと思っている!」などと叫んだりしない。「困った人に思いやりをかけようと思っている。皆も真似ろ!」と言ったりもしない。秘めてこその力だ。もし、大声で言いだしたら、それだけで偽物だとわかってしまう。
ところが「愛国心」だけは本物も偽物も区別がつかない。早く言い出し、声の大きな人が勝つ。そんなものは偽者だと、四十年以上前に僕らは体験した。又、戦争を体験した人達もわかるはずだ。だが、いまはわからない。メディアは溢れている。誰だって声を上げられる。ネット、メール、ツイッターなどで、誰だって発信できる。自分の部屋にいて、全国民に向かって大演説ができる。右翼の街宣車どころではない。巨大な力がある。自分が「日本」という存在と一体になったと思う。巨大ロボットに変身し、中国、韓国、北朝鮮と闘う。戦争も辞さずの覚悟で、だ。
そんな時代に僕らは生きている。厖大な騒々しい「声」の洪水の中で、どうやったら流されないのか。自分を保てるのか、そこから考えるしかない。自分を投げ出してしまい、国家や政治や愛国心や、そんな「大きな正義」に自分を預けていてはダメだ。「一身独立し、一国独立する」と福澤諭吉は言った。また、竹中労は言った。「人は弱いから群れるのではない。群れるから弱いんだ」と。まさにその通りだ。要は、個人の覚悟だ。個人の秘めた力だ。
柏艪舎から本を出すのは二回目だ。二〇〇九年に『日本の品格』を出した。そして今回は、個人の品格、覚悟、秘めた力から話は始まっている。別に、「国権」から「民権」に変わったわけではない。貫くテーマは同じだと思う。それは読んでもらえばわかる。
『日本の品格』を出してから三年になる。でもこの三年は3・11東日本大地震、福島原発事故を初め、日本そのものが大きく変わった三年だ。三十年にも三百年にも思える。そして国家、領土、憲法、愛国心……と激論が交わされた。大声で怒鳴るのが正義だ。そう思い、そう錯覚する。そんな時代に僕らは生きている。その時代をどう見るのか。どう生きるのかを考えてみた。前回同様、柏艪舎代表の山本光伸さんには大変お世話になった。そして今回は可知佳恵さんにも大変お世話になった。おかげでいい本ができました。ありがとうございました。そして、いまこの本を手に取っている皆にも、ありがとうございましたと感謝したい。

              二〇一二年十二月十日 みやま荘で
                               鈴木邦男

版元から一言

9月19 日・11 月22 日 朝日新聞「オピニオン」面、11 月29 日 毎日新聞「政治にツイート」、9月30 日TBS「サンデーモーニング」他、新聞・テレビで毎日のようにコメントを取り上げられている鈴木邦男さんが、本当に伝えたいこととは?

著者プロフィール

鈴木邦男  (スズキクニオ)  (著/文

一九四三年福島県に生まれる。一九六七年、早稲田大学政治経済学部卒業。同大学院中退後、産経新聞社入社。学生時代から右翼・民族運動に関わる。一九七二年に「一水会」を結成。一九九九年まで代表を務め、現在は顧問。新聞・テレビをはじめ多彩な言論活動を行なっている。著書多数。

上記内容は本書刊行時のものです。