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「国家」にこだわるロシア

 2001年9月のアメリカ同時多発テロ以来、世界はテロの時代に入った。国家の主権を奪うのではなく、人々を恐怖で支配して実効支配の地を広げるのがテロ集団だ。なまじ国家など預かると、法律だの外交だのと面倒な文書手続きをせねばならなくなる。故に、国家主権など握らず、実効支配だけでよい、と考えるのである。
東西冷戦が終結する前から、すでに政府に異を唱える国家対非国家主体の紛争(内戦)はあったのだが、あの同時多発テロ以来、同様のテロを試みる非国家主体は増え続け、今や戦いの多くは、国家同士の戦争ではなく、国家対非国家である。
 ところが、今や希少な、国家と国家の戦争を続けている国がある。ロシアである。2014年のクリミア併合にあるように、武力による領土拡大と統治を国際社会の批判にもかかわらず続けている。統治のコスト(民の不満を抑える警察と治安部隊の出動費、医療・教育などの住民サービス費)よりも、領土支配による効用(示威効果、資源の売買益、税収)のほうが大きいと思っているようだ。実際には計画経済が行き詰まったことと、治安出動の出費増大でソ連は崩壊したことを忘れたのだろうか。ロシア政府の下で暮らす人々に、思いが募る。 (さらに…)