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市町村合併がやってくる

 このところ、全国で市町村合併が進行しています。私たちの編集室がある石川県松任市も近隣2町5村を巻き込み、2005年から「白山市」として新市政がスタートします。石川、福井、岐阜の3県にまたがり、富士山、立山とともに日本三霊山の一つに数えられる「白山」の名を市名にいただくことはなんとなく面映ゆく、また一方で永年慣れ親しんだ「松任」という市名が消えてしまうことに一抹の寂しさも感じています。
 さて、そうした感傷はともかく、市町村合併によって編集室には膨大な仕事が発生します。まずは住所録の訂正です。1988年に創刊した『たいころじい』は最新刊で24巻となりましたが、その間に蓄積した定期購読者名簿の何割かは訂正しなければならなくなるでしょう。それにともない、販売台帳、宛名シール、納品書、請求書などの住所ももう一度見直すことになります。同時に、書籍に挟み込むスリップや読者カード、編集室で使用する封筒、名刺、書籍チラシなどの印刷物も更新しなければなりません。その他、今は予想もしない事態が発生するかもしれません。住所表示をすべてを新表示に改めるについては数年間の猶予期間をおくということですが、かつて郵便番号が5桁から7桁に変わった時に、いつまでも5桁マスの封筒で書類を送ってくる企業がどこか侘びしく見えたことを思い出すと、あまりのんびり構えてはいられないという気持ちになります。
 かくして、ただでさえ人手の少ない編集室は、まもなく市町村合併狂想曲にてんてこ舞いすることになりそうです。読者の皆さま、取次の皆さまにはできるだけご迷惑をおかけしないよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。

はじめまして

 はじめまして。今年から版元ドットコムの仲間に入れていただいた石川県の財団法人浅野太鼓文化研究所たいころじい編集室と申します。会員の皆さまはそれぞれにそうそうたる出版社が名を連ね、地方の弱小編集室である当方は非常に頼りない存在ではありますが、和太鼓関連書籍の出版という少々毛色の変わった業務を行っておりますので、ここでは自己紹介を兼ねながら日常の編集室の様子をお伝えしようと思います。
 編集室が所属する財団法人浅野太鼓文化研究所は、慶長14年(1609)に石川県松任市に創業した和太鼓の製造・販売の老舗、株式会社浅野太鼓楽器店の研究機関として平成11年に設立されました。主な事業として、出版、和太鼓教室およびワークショップの主宰、全国の太鼓状況の調査など、和太鼓文化の振興・発展を目的にさまざまな活動を行っています。中でも出版は事業の柱であり、全国で唯一の太鼓専門誌「たいころじい」の年二回の発行を基幹に、和太鼓教則本、教師のための和太鼓指導書、練習曲のCD製作などを手がけてきました。
 皆さまもご存知のように、日本では昭和60年代の地域活性化・ふるさと創生ブームを契機に、全国に続々と和太鼓グループが誕生し、その数は今や1万 5000とも2万グループともいわれています。また昨年から施行された文部科学省の新学習指導要領により学校での邦楽の履修が義務づけられたことから、全国の多くの小・中・高校の授業やクラブ活動に和太鼓が取り入れられるようになりました。
 このように和太鼓関連書籍を専門に出版している当編集室としては環境は大変良好なのですが、編集スタッフの少数精鋭?主義に加え、母体である浅野太鼓楽器店が創業400年を誇る老舗として和太鼓の製造・販売にとどまらず、和太鼓コンサートや太鼓関連イベントの企画・プロデュースも行っているため、編集スタッフはことあるごとに動員され、編集室は一年を通じて戦場のような慌ただしさの渦中にあります。たとえ発行直前の切羽詰まった状況下にあろうとも、いざイベント開催となれば編集長は潔く赤ペンを放り投げ、ある時はイベントディレクター、またある時はブライダルコーディネーター、さらには展覧会のキュレーター、コンサートの司会進行、果ては運転手、食事調達係と、何が本業かわからない怪人百面相ばりの世界に身を置く次第となるわけです。
 とはいえ、編集作業とは何の関連もないと思われるこれらの変則的な仕事を通じ、デスクワークや通り一遍の取材では得られないリアルな情報や貴重な教訓と遭遇することも多々あります。出版にせよ、イベントにせよ、太鼓製造にせよ、大きなくくりでの「ものづくり」に流れている精神は共通しているようです。そうした生きた素材を上手に誌面に活用しながら、さらに品質向上を目ざして今日も奮闘している我が編集室です。諸先輩の皆さま、不束な新参者ですが、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

小野美枝子