「避難」の実像、「辺境」の逆襲
出版界では、「3・11ブーム」はとうに終わったと言われているらしい。売れたのはほんの一部、大半は需要を供給がはるかに上回り、返品が押し寄せてきたという絶叫が方々から聞こえてくる。読み手のない本をつくっても仕方がない、テーマを変えろという声は、それはそれで常識的な反応と言えるかもしれない。
だが、あの事故をめぐって、いま語られていること、起きていることを考えたとき、出版屋の使命などという口幅ったい言葉を、思わず呟いてみたくなる。なにせ、マスコミはこんな状況なのだから。俺たちぐらい、好きに騒がないでどうするんだと。 (さらに…)