「父の日」読書推進の書
6月16日は「父の日」です。「そうかそうか」と思い出す男性は、お父さん歴が5年以上はある人でしょうか。私はまだ3年と経験が浅いためなのか、どうも印象が薄い。5月の「母の日」に比べて世間でもいまひとつ…、書店でも「母の日におすすめコーナー」はやるが父版はやったことがないという店員さんが多いし、どうも盛り上がっている気配がない。しかも今年の場合はサッカーW杯、連日の見逃せない一戦とあっては、そんな話題などはじめからピッチの外かと…。
しかしながら小社から、来る「父の日」にぜひお父さん達、いやお母さん達にもおすすめしたい本が出たのです。『痛快・父子血風録(おやこけっぷうろく)』というやたら勇ましいタイトルで、50代半ばの父親と20代大学生の息子、二人の6時間にわたる対談をまとめた親子論であり父親論です。目下この本を販促中なのであります。
著者(オヤジの方)は信州・長野県のテレビやラジオでお馴染みのパーソナリティですから、県内書店での出足は好調です。ある書店でさっそく作ってくれたポップには、「最近、息子さんと会話してますか?」とありました。その前でじーっと立ち読みする50代と見える男性が…。
息子と会話、みなさんはどうでしょうか。私も自分はどうかと考えてしまいました。まず父親としては、いまのところ息子とは結構会話しているかな。なにせ元気のカタマリ三歳児ですから対話というより全身で「体話」です。一方で、生まれて以来ずーっとやってる息子としては、うーん、この著者父子のように面と向かって何時間も話したことなんてないぞ。
息子が大学生になって、こんなに本音で話せる父子関係ってそう多くはないと思うのです。話題は子育て、教育論から旅、音楽、映画、ついには恋愛論まで自由に広がっていきますが、家族の歴史には楽しいことばかりではなく、息子の経験した挫折についても両方の立場から素直に語られています。あとがきで父の方が「当時の息子の深い心の内を改めて知った」と語っていますが、それを前もって読めることで、父親初心者としての私にはいろいろと参考になりました。
誰かが止めない限り喋りっぱなし、という二人の悪ガキを一冊にまとめた小社編集長の結論として、「良い子の家庭ではけっして読まないで下さい」の注意書きがオビに入りました。いま「良い子」と言われ続ける子どもほど心配なものはないと聞きます。子育てから遠ざかっているお父さん達にぜひ、「父子を楽しんでいる」この本を読んでいただきたい!と願っております。