渋谷川の本
創業8年目のわが社では、「フィールド・スタディ文庫」というシリーズを4年前から出しているけれど、この5月でようやく6点目。
題して『「春の小川」はなぜ消えたか 渋谷川にみる都市河川の歴史』という。
四六判226ページ。地図・図版あわせて約160点。付録に折込地図を添えて、本体価格1800円なり。
ウチとしては、破格に安い。
「類書に卓絶する決定版」がキャッチフレーズで、社創業とほとんど同時に原稿依頼していた本だから、中身は濃いのだけれど、「売れ足」となると、いつもながら未知の領域。
女房と二人だけの「会社」だし、まあ、出すべきものだけを出していくだけで、モトがとれるとはモトから思っていない、わけでもないけれど、こういうかたちでいつまでつづけられるかな。
昨日、某図書館関係団体からの依頼で、「地図と古地図」について11回目かの講演をようようの思いでこなしたのは、40年ぶりでぎっくり腰になって、その後遺症が抜けないため。
依頼先が変れば、場所が変る。原則として、「その場所」の地図と古地図の話をするから、毎回の「仕入れ」は大変なのです。
それやこれやで、新刊対応はまったくできていない。
ところでシリーズは、「場所と記憶」というテーマに沿って、しかも「地形」や「地盤」というフィジカルな条件を重視するものだが、それならば他人(ひと)様の本を出すよりも、自分の本を出した方が効率的であるようにも思われてくる。
某社には2冊分くらいの原稿と図版を渡し済みだけれど、このシリーズの7冊目は、別に書きためてきたものでまとめてみるかな。
しかし、奥付に著者と発行者の同一の名前が並ぶのは、妙な気もする。
地図や古地図、そして当今はやりの「地形」に関して、興味をもってくださる版元さんがいれば、ご相談に応じますよ。