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本屋さん御用達のWebサイト「s-book.net」をご存知ですか?

皆さんは「s-book.net」をご存知でしょうか? ご存知ない方のために大雑把に説明すると、小学館を中心に有力出版社が集まって運営している書店専用の注文サイトです。B to B とでも言うんでしょうか、本屋さんがインターネット経由で補充注文などを行なうための仕組みは他にもあるのですが、「s-book.net」はその中でも突出しています。なにしろ、小学館・集英社・白泉社・祥伝社・照林社・小学館プロダクション・双葉社・講談社(コミックスのみ)・芳文社・リイド社・オークラ出版・秋田書店・偕成社・ポプラ社・主婦の友社・少年画報社・ゴルフダイジェスト社・朝日ソノラマ・岩崎書店・実業之日本社・マッグガーデン・小峰書店・大活字・くもん出版・海王社(2006年9月末現在)、の注文が可能なんです。特にコミックの注文に関して言えば本当に多くの本屋さんがこのサイトを利用しています(既にお気づきかもしれませんが、「s-book.net」では小学館・集英社・講談社のコミックの注文が可能です。業界のことに詳しい方ならこのことがどういう意味を持っているか、すぐにお分かりいただけるはずです)。中心になっている小学館の努力は、システムの維持だけではなく書店での利用促進に向けた啓蒙活動も含めて並大抵のものではありません。地方の書店に行くと、「ジャンプやサンデーのコミックの注文は当店で!」というようなポスターやステッカーを見かけることがありますが、あれは小学館が書店向けに配ったものです。頭が下がります。

「s-book.net」が本屋さんからの支持を集めた理由は、実はこの小学館の熱心さ、と関係があります。小学館に限った話ではないのですが、書店にとって売れ筋のコミックの入手は非常に重要な割に、FAXや電話や店売在庫(取次店の在庫)を利用してもなかなか確保が難しいのが実態でした。そのため、早朝から取次の店売のシャッターの前に並んで開いたと同時に隙間から潜りこむとか、大手の書店に行って定価で買ってくるとか、注文が減数されないように1冊の注文短冊を大量に書くとか、なにかこう途方もない努力を本屋さんは重ねていました。ところが「s-book.net」は「「s-book.net」経由で注文を出してくれたら最低○○冊の出荷は保証しますよ」と宣言したのです。しかも、本屋さんが出した注文は物流倉庫と直結しているので入荷までの日数も把握できます。シリーズものの欠品補充も一覧注文を使って楽にできます。ジャンプやサンデーの人気コミックのキャラクター入りのPOPもダウンロードできます。品切情報だけでなく増刷の情報もマメに提供されます。これだけのサイトを作った以上、使ってもらわなければ意味はありません。だから、「s-book.net」の運営の中心である小学館は書店に向けてサイトの利用を熱心に促進しました。結果として「「s-book.net」が使いたいからパソコンを買ってインターネットに接続した」という本屋さんまで現れたほどです。

そんなに便利な「s-book.net」ならオマエのところも参加したらよいではないか、と言われそうですが、実はそう簡単でもありません。これだけの仕組みですから、当然、費用もかかります。また、この仕組みに参加するための前提も、倉庫の対応能力の問題をはじめ、いちいち細かくは挙げられませんが、実際には多々あります。さらに言えば、売れ筋のコミックのような緊急性と確実性を要する注文以外は今までと同様に取次を経由しての発注のほうが本屋さんも出版社も手間がかからないわけで、そういう意味で弊社のような規模の小さい出版社は参加したくてもできない、もしくは参加しても実質的なメリットを得られない、のが現状でした。

ところが、ここへ来て状況が大きく変化しはじめました。出版流通の改善に前向きに取り組む倉庫会社が集まって立ち上げた「出版倉庫流通協議会」が、「出版社共同ネット」という名前で中小零細版元でもオンラインでの受注が可能になる安価な仕組みを用意したのです。しかも「s-book.net」に間借りするような形なので、本屋さんから見ると「出版社共同ネット」に参加している出版社はあたかも「s-book.net」に参加しているかのように見えるわけです。「出版倉庫流通協議会」に参加している倉庫を使っている出版社はすぐにでも参加が可能です。参加をご希望の出版社の方は出版社共同ネットセンター、または出版倉庫流通協議会事務局までお問い合わせ下さい。なお、連絡先はネットでお調べ下さい。すぐにわかると思います(「出版倉庫流通協議会」のサイトのお知らせのトップがゴルフコンペなのはちょっとがっくり来ますが、まあ、それもあれでしょうか)。問い合わせの前に自社で使っている倉庫が「出版倉庫流通協議会」に参加しているかどうかは確認しておいたほうが良いと思います。

弊社の場合ですが、契約している倉庫は「出版倉庫流通協議会」に参加していません。また、受発注も含めシステムはかなりカスタマイズしたものを使っています。そのため、社内のシステムとの連携の問題もあり、すぐにでも参加できるかどうかは未知数です。ですが、遠くない将来には是非参加したいと考えています。

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